Fashion Muse

Karen Kilimnik, Carine Roitfeld


今回はファッションミューズを描き続けるKaren Kilimnikと、ファッションミューズとして愛され続けるCarine Roitfeldについて書きます。ふたりとも大好きなクリエイターで関わりもあるのです。


まずは、Karen Kilimnikの初期の作品集“Drawings”から。

作品というには、どこか未完成な感じがして、書きかけのスケッチブックをそのまま本にしてしまったような一冊です。思春期の女の子が退屈な授業中とか、友達と長電話をしながら、自分のお気に入りの女の子を無意識に落書きしてたみたい感じ。でも、そういうところがKaren Kilimnikの作品の魅力だと思います。

 

Susan Ciancioloも、そういうところで少し似ていると思います。誰にもできそうなんだけど、ここまではできないよねっていう。あと、Elizabeth PeytonやRita Ackermannも、同世代の女性のアーティストで、テイストが少し似ています。


95年に発行されたBABY GENERATIONという本。

Karen Kilimnikと共にSofia Coppola、Ione Skye、Tamra Davis、Kim Gordonの5人のクリエイターが紹介されています。アートディレクションはMike Mills。ホンマタカシさんが5人のお部屋を撮影した写真を中心に構成された薄い冊子のような本です。

 

冒頭のKim Gordonが母になったことについての文章は、女性として生まれてきた自分自身の生き方をいろいろと考えさせられる内容でした。2011年に出版された“拡張するファッション”という本にも掲載されていたので、今でも読むことができます。

 

あと、Sofia Coppolaの“Action speaks louder than words”というメッセージはとてもシンプルで刺激的です。

 

この頃は女の子のクリエイターが注目を集めていて、そんなクリエイターに憧れて、自分も何かやってみたい、表現したいと感じた女の子がたくさんいたように思います。私が写真学校に通っていた時も、男子よりも女子の生徒数の方が多かったです。


日本で個展が開催されたこともあります。その時のハガキです。

記憶があいまいですが、作品を展示するだけでなく、キャンドルが置かれていたり、壁に布がかけてあったりして、会場全体がお部屋のような雰囲気になっていました。


relaxの増刊号のrelax for girlsの2号では表紙を飾っていました。


2002年にMARY QUANTのアートディレクションをチダコウイチさんが手がけていて、Karen Kilimnikのイラストを使った商品や広告を展開していました。

恵比寿のザ・ガーデンホールで、このコレクションの発表会が行われて、私は当時勤めていたデザイン事務所の上司から招待状を譲り受けて行かせてもらいました。結構豪華なイベントでした。今振り返ると景気が今よりもよかったんだろうなぁと思います。

 

Tシャツ以外にもポーチなどの小物もありました。個人的には、MARY QUANTというブランドとKaren Kilimnikに興味を持っている人とでは、客層が合ってないような感じがしましたが…。

 

イラストレーターやアーティストをブランドのカタログや商品に起用することが流行っていたような記憶もあります。私の働いていた会社でも、日本のアパレルブランドの仕事をしていたので、何かいい人がいないか、訊ねられることが多かったです。


Theresa Duncanが監督したアニメーション映画“The History of Glamour”では、Karen Kilimnikが作画を担当しています。

田舎街からNYに出てきた女の子がスカウトされて、ロックスターになるが…、という話です。コマ数の少ないパタパタした感じのアニメーションで味があって素敵です。音楽はBikini KillのKathi Wilcoxも担当していてます。監督のTheresa Duncanは、2007年に40歳の若さで亡くなられてしまったそうなので残念です。

 

公開当時にTシャツも売っていました。今はもうボロボロで部屋着になっていますが、気に入っているので捨てられないです。


2011年には、オペラ座の舞台の背景画を手がけたそうです。ポップなイメージのイラストと、トラディショナルなバレエの組み合わせは意外に感じましたが、ロマンチックで素敵ですね。


そして、Carine Roitfeldが創刊した“CR Fashion Book”にKaren Kilimnikの作品が掲載されているのを見つけて、びっくりしました!

Karen Kilimnikが起用されたのは、掲載された号のテーマがバレエだったからのようです。オペラ座の仕事と繋がっていますね。

 

via CR Fashion Book  CR Fashion Book CR Fashion Book


Carine Roitfeldと言えば、VOGUE PARISを退任後、CR Fashion Bookの創刊までの様子を密着したドキュメンタリー映画、“マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ”が今月から公開されています。

私は昨年の秋にひと足先に試写会で観ることができました。

 

Carineが編集長を務めていた時のVOGUE PARISが大好きだったので、Carineがどのようにして雑誌を作っているのか、とても興味深かったです。撮影の裏側は本当にドラマチックで、夢の舞台を観ているようでした。

 

Carineのファッション、仕事、人生に対する哲学もひしひしと感じました。常に新しいことに挑戦しようとする攻めの姿勢に、エレガントだけど、根っこの部分でパンクな精神を持っている人だなと感じました。だからいつまでも若いんだろうなぁと。

 

THE LITTLE BLACK JACKETの展示で来日している様子も撮影されています。あと、Carine Roitfeldの仕事をまとめたIrreverentという本が2011年に出版されています。


という感じで、Karen KilimnikとCarine Roitfeldを結びつけて、今回はブログを書いてみました。Carine Roitfeldの映画は、もう1度映画館で観ておきたいなぁと思います。

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