Charlotte Gainsbourg - 初恋の人に振られた気分

Charlotte Gainsbourg - Feeling like to break my first love


先日、ツイッターで「Charlotte Gainsbourgの新しいアルバム“Stage Whisper”を聴いてます」とつぶやいたところ、リプライをいただいたので、彼女について記事を書いてみようと思いました。

 

少し甘酸っぱく、苦い思い出を振り返りつつ、懐かしい品々と共に紹介していきます。


中学生の時に友達と毎月映画雑誌の“ロードショー”と“スクリーン”をどちらかを分担して買って、好きな俳優のページを切り抜いて交換したり、回し読みしていたのですが、その中でCharlotte Gainsbourgの写真を見たのがきっかけでCharlotteを知りました。

 

妙に雰囲気のある佇まいと、物憂げな影を帯びたような表情の少女に思春期のはじまりを迎えた私は、何かを嗅ぎつけて反応し、興味を持ちました。

 

早速、その友達の家に遊びに行った時に、ビデオを借りて一緒に観ました。それがなまいきシャルロット(原題:L'Effrontée)』です。

映画が終わると一緒に観ていた友達と一緒にしょんぼりしまったのを、よく覚えています。主人公であるはずのCharlotteがひどく惨めな役で、全然可愛くなかったことに、今までの映画の概念を覆された感じでした。

 

でも、後々になってみると、大人たちが彼女に求めていたものに、この歳にして応えて完璧に演じきっていた役者魂のようなものを感じます。

 

私も友達もしょんぼりしてしまったのは、彼女の役に本当に本人を重ねて見入ってしまった証拠でもあるので、やはり天才的な子役だったのでしょう。

 

以下は、もっと大人になってから購入したパンフレット(半券付き)と2種類のチラシです。お父さんのSerge Gainsbourgと一緒に出ていたrenomaの広告がパンフレット内に掲載されています。


『なまいきシャルロット』は、自分の思っていたような可愛いらしい、キラキラしたアイドル映画ではなかったけれど、Charlotteに対する興味は変わらずに持ち続けていたので、次にCDアルバムを出していたので、それを買って聴いてみることにしました。

 

このアルバムでお父さんのSerge Gainsbourgを知るきっかけになりました。中学生で少ないお小遣いの中で買ったCDだったし、とても気に入ったので、何度も何度も聴いたアルバムです。

 

不安定なボーカルに、美しいメロディ、内容のひどい歌詞。それを実の父親が娘に歌わせているという…。だんだんと私はこのデカダンな世界のおもしろさに惹かれていきました。

 

親子が共犯して世間に対してタブーを犯すマネをして、周囲がひやひやしているのを、ふたりして面白がってやってるような感じで、でも、それにしては、やりすぎで、それを理解してやっているCharlotteが大人すぎる。

 

以下は1stアルバムになる、アナログ盤の“Charlotte for Ever”とその中に収録されている曲から出た7インチ盤とCharlotteのスチール写真を使った『なまいきシャルロット』のテーマ曲のサントラの7インチです。

 

♪ Serge Gainsbourg - Lemon Incest


CDの次に写真集を見つけて書店で買いました。この写真集の中にClaude MillerとAgnès Varda、お母さんのJane BirkinがCharlotteの素晴らしさを絶賛するコメントを寄せています。

 

いくつか興味深いことが書いているので、抜粋してみます。

 

・女優デビューのきっかけは、Catherine Deneuve主演の『残火』で子ども役を探していて、Jane BirkinがCharlotteを紹介したこと。

 

・「Charlotteにはね、もう“自分”というものがあるの。自分に真の自信があるのね。だから別に人に好かれようとしたりしないし、大勢の人が集まっていても隅で一人でいる方が好きだし。皆から口々にほめられても、相変わらずのペースは崩さない。はじめから個人主義で、ただ映画に出ることだけを考えて、自分のエネルギーをそこにつぎ込もうとするの。たぶん無駄なことはなるべくしないで、大切な何かをしなくちゃいけないという姿勢は私とSergeから学んだのかもしれないわね」(Jane Birkin)

 

・「Charlotteの神秘は、ほとんど病的なまでの内気さと、反抗的な図々しさとが実に特殊なやり方で結びつき、それらが矛盾と共に入り混じったあの状態、一方でどこへむかっていくのかわからない、人生の現実についてなど何ひとつ知りたくないといった風をしていながら、その裏では冷静な知性が、揺らぐことのない意志のために奉仕しているといったあの状態のことである」

(Agnès Varda)

 

というようなことが書かれていますが、これは大人目線であって、60年代の神話的カップルの娘として、世間から否が応でも注目される存在であった本人の状況など、いろいろと複雑だったのではないかなと伺わせます。

写真集や『カンフーマスター!(原題:Kung-fu Master!)』の中でCharlotteが着ているボーダーシャツやスナップボタンのカーディガンはagnès b.のもので、日本でも一時期すごく流行っていたので、なつかしいです。私もagnès b.のカットソーなどを何枚か買って着ていました。

 

去年の夏に初期コレクションをAdam et Ropéから復刻販売していたそうです!


『小さな泥棒(原題:LA PETITE VOLEUSE)』では不良少女の役を演じていて、この映画もいい役では決してないのですが、Charlotteの魅力が満載で、何度も見直した作品です。この作品を観た頃には、すっかりCharlotteにはまっていて、反抗期に突入した私は、ますます彼女の挑発的な演技の役に影響を受けて、とても可愛げのない少女の道を歩んでいったのでした。

 

以下はパンフレット、チラシ、プレスシート、そして日本語の対訳付きのシナリオブックです。

シナリオブックは青山にあったシネシティ香港で購入しました。アジア映画以外にも、映画関連の書籍を多く扱っていて、好きなお店でした。


その他にもCharlotte関連のプレスシートやチラシ、パンフレットなど、とにかく見つけたら、ちょこちょこと買い集めていました。


『愛されすぎて(原題:Amoureuse)』は、一番好きなCharlotteの作品です。

 

ショートヘアは『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ (原題:Je t'aime moi non plus)』でJane Birkinがしていた髪型にそっくりで、私もマネをして高校生の時はずっとこんな感じに短くしていました。

 

この映画の中でふたりの男性を魅了するCharlotteは、小悪魔的で魅力的でした。ファッション的にも気になる部分が多く、劇場で2回続けて観た覚えがあります。

 

でも、最近になって、久々に観直してみたら、なんだかハッキリしなくてややこしいCharlotteにイライラしてしまったので、自分が大人になったのだなと感じました。

プレスシートとポストカードは公開当時に地方に住んでいたので、配給会社にパンフレットが欲しいので通販できないか問い合わせをしたら、特別に送ってくれたものです。

 

あと、スチール写真を使ったポストカードは、当時よく通っていたミニシアターで、観たい映画をリクエストするハガキを受け付けていたので、ちょこちょこ送っていたら、私の好みを考慮して、年賀状にして送ってきてくれたのです!

 

どちらも、とても嬉しかったです。今では考えられないような交流だったと思います。

 

そして、Charlotteが表紙の1992年9月号の“Cut”です。

この中のインタビューが、とても気難しい感じで、慎重に言葉を選んで答えているのが伝わってきて、とても興味深かったです。

 

いくつか気になるところを抜粋します。

 

・シンプルな格好をしている理由について

「わざとじゃなくて、ただそのほうが、他の服装より悪くない感じがするの。いつも思うのよ、もしが他の服を着ると目立っちゃうでしょ。あれこれ言われるのはぜったい嫌なの。こんなふうな格好をしてれば、みんなもう私がどんなかなんて気にしなくなると思う。もし私がスカートをはいて、ごく普通の格好をしたら、みんな気がつくんじゃないのかな」

 

・永遠の大人でなければならなかったことに対して

「わたしはいつも若い女性の役をやっていかなきゃいけないような気がする。みんないつも15歳みたいだって言う。それがすごく怖い。

でも、私自身の生活の中では、あんまり若くなれない。自分が守りたいものを守るためにはね。そしてとにかく、守らなければならないものは守ってきたと思う。その必要なものっていうのは、間違いなく私が自分の意志で守ってきた子どもの部分がほとんどなの。

 

・両親について

「いつも比べられる、でもが一番比べてるのよね。がっくりすることもあるわ。両親みたいにはできないって気持ちがいつもある。満足することなんてないんだろうな。ふたりを尊敬しないでいられれば、たぶんそんなに辛くないんでしょうけどね」

 

・同世代のVanessa Paradisについて

「みんなと同じ様に彼女を見てる。あれほど有名な人に対して、私が違う見方をしてるとは思わない。彼女はスターなの、だからスターとして見てる。それだけ」

 

・内気な性格について

「すごくよく知っている人と一緒だと全然違うわ。でもあんまり知らない人と一緒だと、どういうわけか話が進まなくなってしまう。結局それでわたしもうんざりするし、相手もうんざりする。だからちがう風になれたらいいと思うわ。いつそうなれるかわからないけど。遠慮してしまうせいだと思う。どうしてもできるだけ内側に籠もっていようとしてしまうー違うようにできないーあまり表面に出さないの。何度も壁にぶつかったわ。でも前よりは少なくなってきたけど」


同時期の1991年にSerge Gainsbourgが亡くなった時に参列していたCharlotteの写真が掲載された写真集。ジーンズにくわえタバコという姿が当時のCharlotteらしいです。


これも同じ時期にCharlotteが出演して、ちょっとだけ歌ってるPV。これは知らない人も多いかなと思ったので、ぜひ観てみてください。
♪ MC Solaar - Sequelles

という感じで、『愛されすぎて』以前のCharlotte Gainsbourgについて紹介してみました。それ以降の作品は観たり観なかったりで、Charlotteも私も大人になったせいか、昔ほどの情熱は薄れてしまいました。

 

その後のCharlotteの活躍は、昔とは想像もつかない感じです。

 

脳内出血で緊急手術ということがあり、心配になりましたが、その他は順調で、まさか歌手活動をするとは思わなかったし、ファッション誌でドレス姿をスナップされていたり、一皮むけた感じがします。結婚と出産が大きかったのかな?

 

最近ファンになった人にとっては、Charlotteの過去の彼女の性格や過去の作品の方が意外に感じたりするのかもしれません。

 

ひとつ悲しい思い出がありまして、2000年の横浜のフランス映画祭にCharlotteが来日して舞台挨拶→上映→サイン会をするというので、かつての自分のアイドルだし、なんとしてもサインをいただいておかなくてはと思って、がんばってチケットを取って行きました。

 

しかし、映画の上映後にサイン会場へ行くと、既に長蛇の列ができていました。(友人と競合して並んでいた人や、チケットがない人もサインをもらえたので、上映中に先に並んでいて、その順番でサインがもらえたのです。ひどいシステム!)

 

持参した1stアルバムのレコードを胸に抱え、数時間ず~っと並び、Charlotteまで、あと10人というところで、サイン会が打ち切られしまったのです。みんなそれぞれに熱い思いがあって、列がなかなか進まなかったり、頬にキスしてもらったと喜んでる男の子もいました。

 

まるでCharlotteが『なまいきシャルロット』の中でクララに憧れながら惨めに彼女を見つめているシーンのように、立ち去っていく彼女を見つめていた私。その日は本当にしょんぼりして、帰宅したのを覚えています。

 

でも、憧れだった人を近くで見ることができただけでも幸せなことかなと思いつつ、ちょっと初恋の人に振られたような気分が今も残っています。

 

ちなみにサインをもらえた方を見つけました。コチラより。


ずい分と長くなりましたが、ひと月ぶりの更新になりました。そして、このブログ1周年です!

 

昨年の震災直前にスタートだったせいもあり、ずっと考えていたのですが、人生にはいろいろと辛いことがありますが、私のこのブログが誰かにとって、ちょっと息抜きになっていたらいいなぁと願いつつ、続けていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします☆

 

また、私と一緒にたくさん“可愛い”とか“面白い”を共有してくださいね!


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