時には少女のように - 吉屋信子、大島弓子、フォアレディース

Sometimes like a girl - Nobuko Yoshiya, Yumiko Oshima, For Ladies


お久しぶりの更新になります。

このブログまだまだ終わっていません☆

 

更新していなかった間に、検索して見つけてくださった方に感想をいただいたり、

友人から更新を楽しみしてるとか、がんばってとか言ってもらえて、嬉しかったです!

どうもありがとうございます。マイペースにですが、続けてまいります。

 

最近、ちょっと夢中になって本を読んだり、音楽を聴いたりしていました。

古書店や中古レコード店に行ったり、図書館やレンタル店に頻繁に通ったりして、

まだまだ読みたい本や音楽がたくさんあることに喜びを感じていました。

今回はそんな喜びの中から、お裾わけです。


吉屋信子の小説を読んだことありますか?

今、一番夢中になって読んでいるのが吉屋信子の本です。


名前を聞いたことがあって、その存在はなんとなく知っていたけど、

どうしてもっと早く読まなかったのだろう?と悔しくなるほど好みでした。

大島弓子のマンガを初めて読んだ時と同じように、すごくすごく興奮しました!

 

“小さき花々”は、タイトル通りにお花のように美しい物語が詰まった短編集です。

中原淳一の挿絵と装丁がすごく乙女チックで、それもすごくいいのです。

文章の周りを花のモチーフで囲んであるなんて、本当に素敵!

 

最初は場所を取るので文庫本を買おうかと思ったのですが、味気ない装丁で

全く読む気にならなかったので、装丁がこんなに作品に大きな影響を与えていて、

大切なものなのかと改めて感じさせられました。単行本で買うべきです。

 

“小さき花々”に続けて、長編の“わすれな草”と“三つの花”も一気に読みました。

 

少女小説”という分野に属するようなのですが、マンガを読んでいる感覚に

少し似ていて読みやすいです。大正時代の女学生の繊細な心の動きを

とても細やかに描写していて、スッとその世界に引き込まれてしまいます。

出てくる言葉遣いや文章がキレイで味わい深くうっとりします。

 

実は私も中学校からミッション系の女子校で寄宿舎生活を送っていたので、

時代こそ違えど、自分の送っていた生活と少し似ていて、懐かしくも感じました。

いつの時代も女子校の雰囲気は、あまり変わらないのかもしれないです。


花物語”はお花の名前がタイトルにつけられた短編集です。

目次や扉絵を見るだけでも、わくわくとしてしまいます。

 

最初に続編である上記の“小さき花々”を読んでしまったので、

読む順番を間違えちゃった感じなのですが、こちらはこれから読むので楽しみです。


ご本人についても興味を持ったので、特集している本や、

当時連載していた雑誌“少女の友”についての本も探して読みました。

吉屋信子さんは、作品の中に出てくるような美しい方です!

当時の女性の生き方というのは、かなり限定されていて、

よき妻、よき母になるために生きなければいけないという背景が強く、

そんな中で吉屋さんは職業婦人として、憧れの存在だったようです。

 

作品の中でも、フェミニズムについて触れるような箇所が多々出てきています。

自分の人生が生まれる家庭や性別で決まってしまう、運命に支配されながらも、

健気に美しく生きる少女たちの姿が生き生きと描かれています。


そして、大好きな大島弓子の“いちご物語”を一緒にご紹介します。

何度も読み直していているのですが、いつもラストになると号泣してしまう作品です。

それくらい毎回、この世界にはまりこみ、心揺さぶられてしまうのです。

 

20代の後半のある日、吉屋信子のように知っていたけれど読んでいなかったので、

ふと気になって読んでみた初めての大島作品が“いちご物語”でした。

 

マンガってすごい!って思いました。完璧に自分の好きな世界が広がっていて、

ストーリーも絵も言葉も構図も、もう何から何まで大好きと思いました。

それがペンと紙だけで作られているのですから、本当にすごい!

 

もしも10代の時に読んでいたら、もっともっと大きな影響を受けていただろうし、

どうしてもっと早く読まなかったのだろう?と、これほど感じたことはありません。

大島さんの作品の中では珍しい長編作品で、連載の都合もあって、

その流れに任せたかのような展開が天才的でおもしろいです。

 

ぜひ読んでいただきたいので、ネタバレにならない程度に物語を説明しますと、

いちごという女の子がある日突然、スウェーデンからお嫁に来るというお話です。

突然やってきた少女に一家がドタバタしてというような感じ。

 

純粋無垢、無邪気ないちごと、真面目で凛々しい然子(黒髪の女の子)。

対照的なふたりの少女が出てきます。

 

ちなみに私のブログ上の名前、生田然子はこの作品から拝借したものです。

適当に“生田”にしちゃって、きっと大島弓子ファンの方には、

つっこまれてしまいそうですが、特に意味はありません。

然子ちゃんの本当の名字って、なんだったのかな?


“いちご物語”を読んでから、まるで恋に落ちてしまったかのように夢中になって、

全10巻の選集を購入して読みました。箱入りのは、ちょっと珍しくないですか?

今、このシリーズのものは出版社が倒産して絶版になってしまったので残念です。

初期の大島さんの作品はご本人も自覚されていたようですが、文字が多い!

マンガなのか、なんなのか、わからなくなるような。

あと、設定が複雑で可哀想なのが多いです。

ハッピーエンドが少なくて、死亡率も高くて…。

 

だからなのか、周囲の人に勧めても、読むのに時間がかかるし、

読んでいて辛くなると言われて、貸してもなかなか読んでもらえなかったりします。

でも、私の場合はその世界に浸って、なぜか心癒されます。

 

綿の国星”以降からは作風が変化していき、

絵も文字も線が少なくなって、物語がより洗練化されていきます。

そして、現在は自身の生活をエッセイ風に描いたマンガが主になっています。

“グーグーだって猫である”は映画化されたので、ご存知の方も多いですよね?

 

どの時代のものも、それぞれに好きです。

大島さんの視点がどの作品にも感じられて、何度でも読みなおしたくなります。

ちょっと現実逃避のように、大島さんの世界に逃げ込んでホッとするみたいな感じで。

 

作品の変化の過程に大島さんにどんな心境の変化があったのか興味深く感じます。

プライベートについてマンガで書いているけど、顔写真は公開していないし、

オープンだけど、結構ミステリアスな部分も多いなぁと思います。


そして、もうひとつ一緒にご紹介したいのが、

70年代に新書館から出ていたフォアレディースシリーズの本です。

 

装丁や挿絵を宇野亜喜良が手がけていたり、

沢渡朔の写真や当時の映画のスチール写真を表紙やページ内に使用していて、

ちょっと気の利いた持っていたくなるような可愛いシリーズの本です。

以前から古書店で見かけたら、ちょっとずつ買い集めていました。

 

その中でも、一般の女の子が投稿した作品を寺山修司が編纂した

“あなたの詩集”というシリーズが私は特に好きです。

当時の女の子達の感性豊かな作品がたくさん詰まっています。

短い文章とか詩とか言葉遊びのような、胸がキュンとするような文章。

それを上手に寺山修司が選び抜いています。


フォアレディースのシリーズは今でも人気があるようで、

古書店で高く売られていることが多いですし、

2004年には、その中の寺山修司の作品の3冊がセットになって再販されています。


今回は吉屋信子、大島弓子、フォアレディースの本をご紹介しました。

どれも共通して言えるのは、少女特有の普遍的な“何か”が存在していること。

そして、その“何か”に触れることで、今も自分の中に住み続ける少女の部分が

それに呼応して、不思議と元気をもらったり、心が癒されていくような感じがします。

 

これから寒くなってきますので、お部屋の中で過ごす時間にお花のように

可愛い本を手に取り、美しい少女の世界に浸ってみてはいかがでしょう?

 

☆おすすめの古書店

Los Papelotes (代々木上原)

リズムアンドブックス (富ヶ谷)

Flying Books (渋谷)

・たらの芽書店 (中目黒)

COW BOOKS (青山・中目黒)